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人間は誰でも「病んだ精神」を抱えているのです    薬の前にストレスの少ない環境を整えよう

 人間は誰でも「病んだ精神」を抱えているのです。健康な精神とは、症状がないことではなく、それらの病んだ精神と折り合いをつけて自覚的にコントロールできる能力を持っていることです。

 例えば、家に居る時には家庭的な人格として親として、夫として人格を分裂させ上手に乗り切っているのです。会社に行けば、会社人間として、うまく職場に合うように人格を分裂させているのです。怖しい想いに襲われることもありますが長くは続きません。空耳といって、実際には何の声も聞こえないのに、聞こえたかのように感ずることもあります。

正常といわれている人は、嫌なことでも我慢してやる能力を持っています。

 正常な人は秘密を守って耐える能力があります。と同時に、嘘を吐く能力も持っているのです。統合失調症の人は嘘が吐けません。だから病気なのです。

 いい加減で処理したり、しなければならない気持ちを抑えたり、相手の気持ちを推し量って空気を読んだり、独り言をいったりするのも正常な人の能力です。

 したがって正常者と思われている人は、社会適応がある程度保たれているノイローゼの人と、明らかな精神症状が現れていない精神病者だと考えてよいでしょう。

 冒頭で述べたように誰でも「病んだ精神」を持っているのです。正常と思われている人は発現する症状の時間が短かったり、症状を自覚的にコントロールすることができるから正常者と思われているだけです。

 精神医学の領域で「聖書」といわれているDSM―S(精神疾患の診断と統計マニュアル)という書籍があります。医師は、DSMに掲載されている症状を参考にして診断し処方しています。DSMの思想にしたがえば、精神症状が全くないことが理想の正常者ということになります。

 世界保健機構(WHO)の定義では「健康とは、病気ではないとか、弱っていない

ということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう」このような厳格な基準を満たさなければ、健康であるといえないのであったなら、「自分は健康である」といい切れる人がどれほどいるでしょうか。

 このストレスの多い社会の中で生活していれば誰でも悲しんだり、嘆いたり、不安や恐怖を感じ、嫌悪感に襲われたりもします。時にはコントロールできなくなったり、強い苦痛や機能障害を起こすこともあります。しかし、これらは時間と自然の治癒能力が働いて、殆どの人が速やかに正常なバランスを取り戻します。ところが環境が悪く、ストレスが強かったりして、自然の治癒能力が衰えている場合には、精神症状と行動を自己修正できなくなる人が現れます。どの時代でも人口の5%から10%です。

            正常とはどのようなことか


 精神障害は、その症状が明らかに深刻で、自然に消えない時に限って診断するべきです。先ずは、生活環境を整えて、ストレス解消に努め、休息し、趣味や運動によって気分転換をはかって待つことです。あまりに早くに薬物治療を開始すると、自然の治癒能力を妨げることになります。

 ストレスのため症状が強い時には、ストレスを和らげるための薬も必要ですが、先ずは「一に養生、二に養生、三、四がなくて五に薬」です。薬は、妄想や幻覚などを抑える働きをしますが、統合失調症を治すものではありません。症状にマスクをしているだけです。したがって薬は、自分が楽になればそれでよいのです。薬は本来、患者を楽にするために使われているのです。楽になれば薬は少ない方がよいのです。

 薬が、脳を生化学的に正常化すると思っている人がいますが、治っている人の多くは、薬を飲んだ状態で治っているのです。脳は、受容体に薬がくっついた状態で、正常ではないのです。抗精神病薬を飲んでいると、正常な悩みが起こらなくなります。その人が薬を減らすと、正常の悩みが起こってきます。このように薬は、脳の良いところも、悪いところも一緒に抑えてしまうのです。

 米国の作家でジャーナリストのマクス・ラーナーは「トランキライザーについて危険なのは、それがもたらす心の平和は、全てお仕着せの心の平和だという点にある。あなたが薬を買い、それにあわせて平和を買う時、あなたは深い解決の代わりに、安い解決へと条件づけられている。」と書いています。

 現代社会では、戦争は絶えません。自然破壊も深刻です。感染も増えています。これらの全てを「正常」な人間が起こしていることです。

ゲーテは「世界は愚か者と狂人でいっぱいなので、わざわざ癲狂院」に探しにゆくまでもない」と。

 ニーチェは「狂気は個人においてむしろ稀だが、しかし集団、党派、国家、時代においては通則である。」といっています。狂っているのはどちらだ?

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